cholumoiで世界のみんなと繋がろう!学生団体cholumoi代表香山太輝さんインタビュー
2017年3月20日に、学生団体cholumoiの代表香山太輝さんにインタビューを行いました。
インタビューアーは藤枝が担当致しました。
Q.なぜ「チョルモイ」という団体名を付けたのですか?
A.メンバーを9人ほど集めて最初の会議をした時に、団体名についての話題が出ました。
自分は「英語の野球チームの名前のようなかっこいいやつにしよう!」と提案したのですが
、メンバーの反応が悪かったのでやめました(笑)カンボジアに学校建設をするということだけは決まっていたので、カンボジアの言葉で何かないかなと探しました。自分たちが知っている言葉もそんなになかったのですが、その中で知っていた言葉が「チョルモイ」でした。「乾杯」っていう意味なのですが、メンバーからも反応も良かったのでこれに決まりました。僕は、実際にカンボジアに行ったことがあって、「チョルモイ」という言葉が現場ではよく使われる言葉だと知っていたので、「ありきたりかな」と思ったのですが、当時いたメンバーは皆カンボジアに行ったことがなかったので、「チョルモイという言葉は面白いし、いいんじゃない?」と言ってくれました。団体の名前はそのような感じで適当に決まったのですが、時が経つにつれてだんだんしっくりくるようになってきて、「乾杯」をするともうそこで友達になれるような気がしました。
Q.ありがとうございます。次に、チョルモイさんの活動の目的についてお聞きします。どのような目的で活動されていたのでしょうか?
A.僕らの団体は、1団体で活動しているわけではなくて、元々ずっとカンボジアの学校建設を行っているNPO法人HEROがあって、そこのプロジェクトに学生団体として参加している形になります。僕はチョルモイを作る前はHEROと一緒に学校建設を行っている学生団体に入っていて、そこで一回学校建設が実現したので、今後の活動はどうするかという話になり、新しくチョルモイという学生団体を作りました。新しく学生団体を作るとなった時もHEROの下でカンボジアに学校建設をするということは既に決まっていたので、自分の中にはそういうイメージしかありませんでした。だから、最初の目的としては、「カンボジアに学校を作る」でした。その後、作った学生団体に「チョルモイ」という名前が付いて、自分が団体で活動する中で学生団体チョルモイの価値というものを考えた時に、何となく自分の中でしっくりくるのは「繋がりを作る」ということでした。自分自身が色んな人と出会えて繋がれるということはもちろんそうですし、日本人がカンボジアに学校建設をしたら、日本人とカンボジア人がまたそこで知り合うじゃないですか。カンボジア人はカンボジア人の学校をカンボジア人が作っても、カンボジア内の関係のみだけれども、そこに日本人が関わることは、別に支援ではなくても新しい繋がりがあるなあ、と思いました。そうやって人と出会って何かしらの影響を与えられることが楽しかったので、そういう機会を作っていけたり、自分たちがすすんで行ったりすることで、何となく団体が出来上がっていく中で、団体のテーマと言いますか、ポリシーみたいなものが「チョルモイで世界のみんなと繋がろう」っていう言葉に集約されると思いました。色々な活動をやってきたけれど、最後には「やっぱりそこに行き着いたな。」ということに気が付きました。
Q.ありがとうございます。先ほど、学校建設に思いやりにあるメンバーが集まってくれたと言っていたのですが、今チョルモイさんに所属しているメンバーはどれ位いますか?
A.メンバーの人数自体は25~26人いますが、日本全国から集まってスタディーツアーに参加
し、チョルモイやりたいと言ってくれるメンバーが集まっているので、日本全国に転々としています。初めは東京だけでやっていたのですが、それぞれの地方で活動をやってくれればOK
という形を取り、それぞれの場所で活動をやってもらいました。僕が団体を始めて1年半くらいやってきた時にメンバーが増えたりもしたのですが、偶然なことに、その増えたメンバーが皆スタディーツアーに参加していたので、学校建設というものを踏まえた上で、「自分たちはこんなことをやりたい」という気持ちを持って集まってくれたメンバーでした。だから、カンボジアの学校建設について思いやりのあるメンバーが多いです。
Q.先ほど「それぞれの地方で活動している」とおっしゃっていましたが、大きい活動を行う際にどこかに集まったりするのでしょうか?
A.大きい活動自体ほとんどないですね。カンボジアでしか全員集合してないです(笑)基本、それぞれの支部の活動には口出ししなかったです。たくさん人数がいるので、意思決定などはしませんでしたが、どこかの支部が頑張っているということを知ると、それに引き続いて他の支部も頑張るというように、所属支部外からの刺激を受けていました。皆の様子を聞きながら、活動内容や当月の成果、困っていることに対して知恵を貸してほしいなどのやり取りを行っていました。知恵については東京が一番情報を持っているので、理想図などを提供したりして、意見交換やモチベーションアップなどを行いながら協力をするという目的で電話会議をしていたのですが、電話でもなかなか人数が集まらなくて大変でした。だからこそ、開校式で全員集合した時は本当に感動的で、最高でした。
Q.ありがとうございます。それでは次の質問に移らせて頂きます。活動内容は具体的にどのようなことをやっていましたか?
A.学校建設ということで、実際に渡航期間は現地に入ってほぼ毎日ずっと建設現場に入って、土運びや石運び、レンガ積みやペンキ塗りなどの色々な作業を行いました。普段は学校建設の為の資金を集めるという目的があったので、いかにして金を稼ぐかということを考えて活動していました。やったこととしては、大きなイベントを開催してお客さんに参加費を頂いて、経費を差し引いた利益で建設資金にするということを行いました。募金はほとんどやらなかったですね。あとは協賛金を頂けるような場所に出向くとか(笑)そのようなイベントに参加したことで色々な人との繋がりを持てたし、時には協賛金を頂けたりもしました。ちょこちょこと地道に稼いでいました(笑)
Q.カンボジアの学校を建設するのに、実際どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
A.今回建設した学校は、2教室ある学校を1つ建てたのですが、全体としては370万円かかりました。ただ、このプロジェクト自体にはチョルモイだけではなく、複数の同じような学生団体と、企業さん2社が協力して下さいました。その中でも僕らは最終的に190万くらい集めることができました。
Q.先ほど、資金集めのためにイベントを開催していたとおっしゃっていたのですが、具体的にどのようなイベントを開催したのでしょうか?
A.学生であったし、団体を作ったばかりだったということもあり、最初は「学生団体とは」や「チョルモイとは何だろう?」、「カンボジアに学校建設することにどのような意味があるのか」というようなことを話し合っていました。そのあとはBBQとか・・・。カンボジアと全く関係ないのですが、お金を頂くにはその人が楽しいと思って来なければいけないので、そういう意味ではどうしたらいいかな、と考えながらやっていました。あとは、クリスマスにも少しイベントをやったり、フットサル大会を何回かやったりしました。あとは各地方でも活動を行っていて、北海道支部ではお店とコラボして、そのお店の料理を出しつつ、売り上げの一部を頂くという活動もしました。関西支部では運動会をやりました。各支部でそれぞれの特色が出ていて、話を聞くのがとても面白かったです。
Q.ありがとうございます。HPを拝見させて頂いた時に、「チョルモイ3カ条」というものが載っていて気になったのですが、これは何ですか?
A.団体を作ることが決まり、「団体とは何か」というのを自分で考えた時に、決め事や共有すべきことはあるだろうと考え、「言葉が必要なのではないか」と思ったんです。できるだけ自由にはしたかったのですが、その中でも団体たりえる由縁を何か共有しないといけないと思い、それだけは守ろうと共有し、決めましたが、最終的には「ただの言葉だな」という風に思ってしまいました。人が本当の意味でつながるのは、作り事の張りぼてな言葉ではないのでは…。と思うようになりました。その中でも最終的に共有する核心のようなものは、(先ほども言った通り、)「チョルモイで世界の皆と繋がろう」というところに集約されるかなと思いました。
Q.活動は色々されてきたというのをお聞きしたのですが、今まで出会った団体はどのような団体ですか?
A.自分たちと同じようにカンボジアに学校建設をしている団体もあれば、学校建設ではないけれども、一代目に建てた団体を継続支援しているような団体もあります。あとは、他国を支援している団体もあるし、スポーツを教えてあげる団体もありました。カンボジアでは体育という授業がないので、スポーツを教える団体はそこでも活躍していて、楽しさを伝えるといったことを行っていました。そのような国際協力を行っている団体は横のつながりがあります。横のつながりを生かして連携して活動できたらより良くなるのでは?という視点に目を向けた団体もあります。しらみつぶしに顔を出しに行ったので、本当に色々な団体にめぐり合うことができました。あとは、東北支援を行っている団体にもお会いしましたし、イベントを作って学生の生活を充実させようという団体だとか、就活支援の団体だとか…。色々な団体とお会いすることによって、「学生団体ってこんなにあるのか」とびっくりさせられました。自分が学生団体に入るまで、学生団体という言葉すら知らなかったですからね(笑)すごく面白かったです。
Q.ありがとうございます。実際にカンボジアに行かれたということなのですけれども、海外に行くということに不安に感じたことは何かありましたか?
A.不安は特になかったですね。初めて海外に行ったのが、小学5年生の時にサッカーチームのイベントで行ったブラジルでした。小さい頃に行った経験があったからなのかどうか分からないですが、行く前から他人に「海外はびっくりすることがたくさんあるんだぞ」と言われ続けていて、そういうものなのだと認識していたので、逆に構えて行ったんですよね。だから「違うのが当たり前」という考えが既にあったので、特に不安に思うことはなかったですね。元々細かいところは気にしないタイプなので(笑)食べ物もある程度食べられたし…。自分はそんなに不安に思ったことはなかったです。
Q.ありがとうございます。次の質問も今の話に関連するのですが、日本とカンボジアでは言語が違いますが、言語の違いで困ったことは何かありましたか?
A.基本、契約などの重要な場面ではNPO法人HEROもいますし、間に通訳もいるので、契約なども言葉の不自由なく交わせました。自分たちが学校に行ってこどもたちと一緒に遊ぶ時、子どもはクメール語しか話せないので、その際の言語には不自由がありましたが、遊んでいる中で、何となく「こういうこと言っているのだろうな」と想像できました。さらに、その時はほとんどボディラングエッジなので、言葉ではなく気持ちで伝え合っていました。開校式の時もいろいろな偉い人がたくさん来て、自分自身も話す機会がありましたが、その時は通訳を通していたので、そこまで大変だと思ったことはないです。ただ、子どもたちのしつけが少々難しかったです。
Q.ありがとうございます。カンボジアに実際に行ってみて、こどもたちの様子とか、教育についてなどはどう感じましたか?
A.自分は日本の教育を受けてきたので、その違いを感じたということもありました。多くの人は、教材、教科、教務などが少ないと思われているので、カンボジアの教育がまだ充実していないと思っているように感じます。その価値観は日本の教育を受けてきたから当たり前の価値観だと思いますが、知らず知らずのうちに、日本で受けてきた教育制度が優れたものであると勝手に思い込んでしまっている部分があると思うんです。大きな歴史の中で、現在日本が行っている学校教育はほんの少しであるのにも関わらず、それが当たり前になりすぎてこれが優れたものだと思い込みがちです。そのような前提があれば、カンボジアの教育はまだ足りないところがあると感じますが、教育の本質に目を向けると、実は、日本より豊かな教育をしているかもしれないと感じました。学習に対しての意義を理解して勉強しているかが教育の水準の価値を高めるものだとすれば、「学校に行けばたくさん勉強でき、たくさん勉強できれば良い仕事に就ける」という思いがあるから、勉強に取り組む子がいて、楽しみながら一生懸命行うことができるのではないかと思います。ただ、どちらがどう優れているというわけではなく、物がなくても充実した教育は足りていると思います。ただし、社会に出るための勉強を行うという点では、資源や人員が足りていない部分もあるかと思います。だからこそ僕らが支援という形で入ると思っています。
Q.ありがとうございます。活動内容についてという質問と少し被ってしまう部分もあるんですが、具体的な活動について少し質問させて頂きます。活動を今までやってきて、「わらしべ長者プロジェクト」というものを行ったと思うのですが、これはどういった内容なのでしょうか?
A.団体が作られて間もない頃に、「どうやってお金集める?」とメンバーに質問したところに出た案がわらしべ長者でした。結局、このプロジェクトは途中で終わってしまいましたが…(笑)カンボジアは、公的な文書を青で書くという習慣なので、コンビニでSarasaの青いボールペンを買って、そこからスタートしました。「面白く資金集めしたい」という発想から思いついた案でしたが、他にも「ヒッチハイクしながら資金集め」という案もあり、ヒッチハイクだけやってみたところ、東京から仙台まで行くことができました。ただ募金をやっても面白くないので、自分たちが面白いと思える活動で資金集めをやろうということでやっていました。常にそんなことを考えながら活動していました。
Q.Sarasaの青ボールペンは最終的にどこまで換えることができたのでしょうか?
A.確か…服まで替えた気がします。でも、途中で価値が下がったこともありました。ボールペンから始まって、筆箱になって、飴になって…ということも(笑)しかも開封済みの飴…。それからチュッパチャップスに価値が上がってまた持ち返すというような感じでした。結局、土に返るほどの高価なものにならなかったのですが、もうちょっと一生懸命やったらもう少し高価なものに辿り着けたかなと、今思うと感じます(笑)
Q.ありがとうございます。今まで活動してきた中で、一番達成感のあった活動、印象に残った活動は何ですか?
A.このメンバーが集まってくれたことが一番嬉しかったかな。資金集めの達成度合いがこんな(手で、ほとんど集まっていないことを示す)だったんですよ。今年(2017年)の1月が〆日で、それまでに目標達成するという話だったのですが、半年前の10月の時点で30万円くらいしか集まってなかったんです。ある時は15万円くらいの赤字が出たこともあり、最終的な利益としては50万円くらいしか集まらなくて、とても焦ったこともありました。ですが、ラストスパートでは謎の自信が沸いてきて、ノルマの170万円が集められる気がしていました(笑)僕は何もやっていませんが、自分たち以外の支部がイベントを立ち上げて、しっかりと利益を出しているという姿を見て、それを知った他の支部もそれに影響されて頑張ってくれていました。そのようなメンバーに巡り合えて良かったなと思いました。達成感というものはあまりなかったのですが、「楽しかったな、嬉しかったな」という気持ちを純粋に感じていました。学校建設も終わって、カンボジアで開校式の時に皆集まって、チョルモイをやる時に「最高のチョルモイだな」と、その瞬間に感じました。もしかしたら、メンバーの皆に会いたかったから、この団体を作ったのかもしれません。強い組織を作る!だとか、でかいことやってやる!とか、そういうことではなかったのかもしれないと、今振り返ってみると思います。
<他インタビューアーから>
Q.日本全国に支部がたくさんあり、各支部で自由に活動を行っているとおっしゃっていたのですが、他の支部の活動の近況を聞いたりする際などは、電話などで話を聞いたりしていたのでしょうか?また、実際に支部に行って活動に参加するといった経験はありましたか?
A.なかなか行けませんでしたが、その中でも、関西支部の方にはよく行っていましたね。でも、口出しとかは全然してなかったです。決めていることは共有している部分の真ん中の柱だけで、あとは自由にやっていい、というスタイルで活動していたので、「いいね」という言葉をたくさん使っていました。「いいね」という言葉の方が、相手も気持ちいいと思うので。それに口を出さなくても、メンバーはうまいことやってくれていました。
Q.先ほどから香山さんのお話を聞かせて頂いていたのですが、横のつながりについて、良い意味で「日本人は日本人、カンボジア人はカンボジア人」という風に考えているとおっしゃっていたのですが、「つながり」ということにおいて、何が一番大切だと考えていますか?
A.関係性にもよると思うのですが、メンバーの中でのつながりで言うと、今回、学生団体は解散するのですが、解散することに「つながりを大切にする」という意図があります。団体として集団が一つになっていると思うのですが、その一つになっている1つ1つのつながりが、学生団体にするということになると、「学生団体であるからつながっている」、「組織や枠組みのおかげで強制的に外からに力によってつながっている」という感覚が時々ありました。それは人間的ではないし、自然ではないと思った時に、その枠を外して心の底の一番温かいところで、見えないところでつながっている、これからそういう仲間であり続けたいと思いました。実際、就活生(当時3年生)になってしまう人が多かったので、学生団体をし続けたら、多分学生団体を辞めるという選択肢を選ばなければいけないと思ったんです。でも、「学生団体って無くなったら辞めなくていいじゃん」って思ったんですよね。形が無くて、見えないところを共有している。その共有しているものは、一緒に建てた小学校の子ども達だとか、その経験だったりだとか、その子どもたちと共有した嬉しさとか幸せとかを味わえた、というところでつながっていて、「いつかまたそこに一緒に行こうよ」と自由な感じで関われる、「楽しいことをやろうと」言ったらそれに共感してくれる仲間がいる。そういう関係にしたくて今回学生団体を辞めました。だから、見えないものを何か共有しているところが一番人間的な関係を強めるものなのかなと思っています。メンバーとか、特に近しい人との「つながり」で」言えば、そういう感じです。ただ、協力して頂いた企業さんとの関係というものもあるじゃないですか。その場合はなかなかこのレベルの関係の「つながり」は難しい部分もあるので、見える形の何かを共有することが必要ですかね。感謝の気持ちを伝えるだとか、以前参加したイベントにもう一度参加するだとか。本当に形になってしまいますが…。難しいですよね、つながりを続けたいし広めたいけど、本当に繋がれるのはなかなか多くはないんだなということも感じました。一緒に活動メンバーや、カンボジアの子どもたちとは本当の意味で「つながり」を持っていたいと思ったので、学生団体を辞めました。学生団体という言葉ももうあまりかっこいいとは思わなくなっちゃいましたけどね(笑)
最後はお互いの団体同士の代表がcholumoi(乾杯)をして、今回のインタビューは終了しました。
<編集後記>
学生団体cholumoiは、2017年のカンボジアの学校建設へ向けて様々な面白い活動を通して資金集めを行っている団体です。40分間お話を聞かせて頂き、今回が初対面だったのにもかかわらず、cholumoiにかける想い、メンバーやカンボジアの子どもたち、お世話になった方々への感謝の気持ちと愛が手にとるように分かりました。また、物事の考え方において勉強になることばかりで、今後私たちApatiteが活動していくにあたって、参考にさせて頂きたいと思いました。
今回、初めて記事編集を担当致しました。至らぬ点が多々あったかと思いますが、最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。今後の学生団体Apatiteも宜しくお願い致します。
Twitter:@apatite_0625